【レディ・バード】ザラザラしたリアルな感情を味わえる映画

今回は、グレタ・ガーウィグ監督が2018年の第90回アカデミー賞にて監督賞をノミネートした作品『レディ・バード』

93分と短めの映画だったので、割と軽い気持ちで鑑賞したんですが、いや、最高でした。

皆学生時代に少なからず感じたり経験したであろう、友達や家族との距離感を見事に再現しているような感覚で、なんだか少し懐かしい気持ちになりつつも、勝手に「うんうん、分かるぞ」と変に先輩面してしまうような、共感性の高い気持ちのいい作品でした

この映画のテーマは「家族愛」という言葉がしっくりくるようで、その言葉だけで収めるにはもったいないような、そんな作品でした。

あらすじ

カリフォルニア州のサクラメント。閉塞感漂う片田舎の町でカトリック系の女子高に通い、自らを「レディ・バード」と呼ぶ17歳のクリスティンが、高校生活最後の年を迎え、友人やボーイフレンド、家族、そして自分の将来について悩み、揺れ動く様子を、みずみずしくユーモアたっぷりに描いた。

引用元:映画.com

作品紹介

引用元:映画.com

・監督:グレタ・ガーウィグ
・公開日:2018年6月1日
・上映時間:93分

キャストシアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ

他人事ではない、主人公の人間像

主人公は片田舎サクラメントに暮らす17歳の少女

大都会ニューヨークの大学に通うことを夢見て、学園生活を過ごす日々
そんな学園生活で友情・恋愛様々経験して成長していくというストーリーなんですが。

お互いに好き同士だからこそ起こる感情のぶつかり合いや、自分への虚しさ・葛藤・後悔のような気持ちが妙に立体的に訴えかけてくる感覚があるんですよね。ここがスゴい!

主人公は後に「親友」と語る同い年の友人がいるんですが、演劇部で出会った男の子と恋に落ち、どんどん彼氏に時間を使うようになっていく

しかし、パーティでその彼氏がなんと同性愛者であることが発覚し、「なんやねん!」ときっぱり別れ、元の仲の良かった親友とまた一緒に過ごす日々

今度はクラスでは綺麗で人気者の女の子と仲良くなり、その界隈のイケイケ組の男の子と恋に落ち、少し憧れていたイケイケ組の仲間入り!

そんなある日、一緒に数学の授業を受けていたはずの親友が教室におらず
追いかけてなんで授業でないの?と聞くと「ジェナは?」と。

つまり、親友は主人公のレディ・バードが自分との時間ではなく、イケイケ女子(ジェナ)との時間を優先していることに気付いていて、現金なやっちゃなぁと思っていたんですね。

「やきもちね」とレディ・バードも返す刀に強気な一言を浴びせてしまい、お互い喧嘩に。。

レディ・バードとしては大事な親友を失ってしまった以上、今のイケイケ組とうまくやっていかなと立場がないんですが、結局気持ちや感覚の不一致が原因でその場所から離れ、また親友のもとに帰ってくるんです。

共感が立て続く

レディ・バードは行ったり来たりですね~なんて思うのは思うんですが、、いや、これは自分事になっちゃいますね。

私も過去に学生生活で部活の仲間・クラスの友人・地元の友人と、自分で意識的にカテゴライズしているわけではなくても、無意識に接する相手や環境を変えていく部分はありました

どこかの環境に依存すると、片一方の環境はどうしてもないがしろになってしまって、自分を最優先で正当化したくなってしまうが故に、「今」一緒に過ごしていない友人には冷たくあたってしまうと。

でも部活も学生生活も落ち着いてきた頃に、地元の友人とまた楽しく過ごしたいなと思ったりして。
そんな時に、やっと初めて周りを理不尽に巻き込んでしまっていたという虚しさだったり、かつての時間を取り戻したい!なんて愛郷心のようなものが復活してくるんですよね。

映画の中では敢えて言葉では表現されていないですが、そんな感情が全てレディ・バードの表情・言動から全て伝わってくるようで、共感の波が押し寄せて鳥肌が立つ。

これがこの映画の醍醐味なんじゃないかなと、思いました。

引用元:映画.com

まとめ

そして、この作品で一番忘れてはいけない存在が母親です。

いつもレディ・バードには厳しい言葉で問い詰めたり、突き放したり。でも最後には、やっぱり親であるという感情があふれ出してしまうんですが、そのシーンが本当に感動です。

敢えて、ここの家族愛の部分の詳細は描かないので、是非ご自身でご覧になってみてほしいです。

というのも、私自身この映画を鑑賞して感じたことは、「皆人それぞれの思い出があり、それは一つのストーリーでは片づけられない程無数にある」ということです。

基本的に映画を鑑賞した後は、youtubeなど漁って他の人の考察などを調べて、はぁなるほどなぁなんて思うところまでして、初めて完了!みたいな部分があるんですが、この映画は真逆で

他の人の考察は、絶対に自分とは一致しない

そう思ったんです。

それは、鑑賞中ずっと自分の過去と照らし合わせていたからです。

自分の学生時分に感じたことや想ったこと、それに対する周りの反応だったりって、本当に自分しか知らないことで、かつ周りに共感を得たい訳ではない。

この映画の感想というのは、主人公が1年間の学生生活を経て成長していく青春ストーリという意味では軸があり、そこは特に人によって変わることはないと思いますが、そこから得られる「映画への共感」は絶対に違うはずです。

自分をふと振り返りたくなった時に、定期的に観たいなと感じる素敵な映画でした。

今回もご愛読いただき、誠にありがとうございました。以上。

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