今回はバリー・ジェンキンス監督の『ムーンライト』
第89回アカデミー賞作品賞・脚色賞・助演男優賞を受賞しているということで、作品賞を受賞していることはずっと前から知っていたので、初めて鑑賞
映像が綺麗で、音楽(音響)がしっとり重い雰囲気で、なんとなく良い映画だなぁというのは伝わってくるような感覚でした
ラストギリギリまでははまりきらないかなぁと思いましたが、しっかり鑑賞し終わった後は考えさせられるような映画でした
ネタバレありで、主観でつらつらと感想かきます
あらすじ
マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「リトル(チビ)」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。
引用:映画.com
作品紹介
・監督:バリー・ジェンキンス
・公開日:2017年03月31日
・上映時間:111分
・メインキャスト:マハーシャラ・アリ、シャリーフ・アープ、ナオミ・ハリス
序盤
この映画は章だてて展開されていきます
Ⅰ:Little(リトル)
Ⅱ:Chiron(シャロン)
Ⅲ:Black(ブラック)
主人公シャロンの少年期・青年期・大人の時期と、主人公視点で分かりやすく展開されている流れはとても見やすくありがたい
僕は正直最初のシャロンとフアン(麻薬ディーラー)との出会いの時点から、結構この映画にのめりこんでいました
小柄な体形から「リトル」とあだ名をつけられて虐められている少年期
母親は薬中で育児放棄状態という辛い環境の中で、救ってくれたのはフアンとその奥さんテレサ
シャロンが事実を話したがらないシーンでも決して問い詰めることなく、根気強く側にいてくれるというのは、観ていてとても安心できて、かつ落ち着く存在なんだなぁと自然と思わされる
少年期終盤、フアンと共に海に行くシーン
泳ぎ方を教えてもらい、その後フアンから言葉をかけてもらいます
引用元:映画.com
俺もガキの頃はお前みたいなチビで―
映画のワンシーンより
月が出ると裸足で駆け回ってた
あるとき、ある老女のそばを走り回ってた
老女は俺を捕まえてこういった
「月明りを浴びて走り回ってると、黒人の子供が青くみえる
ブルーだよ。お前をこういう。ブルー。」
少年シャロンはフアンに問いかけます
「名前がブルーなの?」
「自分の道は自分で決めろ。周りに決めさせるな」
シャロンが「リトル」と虐められているところに、フアンは自分の過去と重ねて
強くいきることを伝えてくれているシーンなのですが、ここが序盤で一番心に響くシーンでした。
話の転換
話は青年期「Ⅱ:Chiron」へ
正直僕はこの時点で、この映画の本筋は「環境や生い立ちに左右されず、自分を信じて強く生きていくこと」こんなようなテーマ性で話が展開していくのかなぁとうっすら感じていました
しかし、それは大きく覆され、それがまた、僕自身少し混乱する部分でした。。笑
少年期に引き続き、相変わらず虐められているシャロン
そんな中、昔から唯一シャロンのことを分かってくれる友人ケヴィン
そんな二人が海で一緒に過ごすシーン
二人で葉っぱをキメて、お互いの人生に憂いている中、お互いに本当の自分をさらけ出すことになります(同性愛者であること)
ここから個人的には一気に話が急展開の感覚!!
あ、この映画は多様性などに向き合いながらも純粋な登場人物のストーリーを描いているのかと。
そういう映画と分かってからの、青年期の章のラストは割と残酷
少年時代からのいじめっ子がケヴィンを捕まえて、シャロンを虐めるように仕向け、
ケヴィンもそれに逆らえず、シャロンを殴ってしまうんです
本当の自分を分かってくれた唯一の仲間から、裏切りにあうシャロンはなかなか辛く、、
そうして心に深い傷をおった中で、シャロンは大人になります
引用元:映画.com
大人になってから
終盤の大人「Ⅲ:Black(ブラック)」へ
シャロンは少年院に収容された後、復帰してからは見た目もさながらギャングのように。
筋骨隆々、歯は金色で高級車を乗り回すような見た目に。
ここが個人的に熱い展開なんですが、シャロンは大人になってから、少年時代に世話になったフアンと同じく、薬の売人になっていました
すっかり見た目も変わってしっかり稼ぎある。心機一転。
そんな中、過去の唯一の仲間のケヴィンから電話があり、二人は改めて会うことに。
引用元:映画.com
懐かしい過去について話を咲かせながらお互いに楽しみ
お互いに惹かれあう気持ちは抑えつつ、、
そうして車を走らせて、ケヴィンの家に行きます
そこで今のお互いの気持ちを改めてぶつけ合い、ラストを迎えるわけですが、
そこでケヴィンとシャロンの間でこんなやりとりがあります
ケヴィン:何者だよ?男、金の入れ歯、高級車。何者だシャロン。
映画のワンシーンより
シャロン:俺は俺さ。他の誰でもない。
ケヴィン:強くなったか?しばらく見ない間に、、予想外だった。
シャロン:どんな予想を?
ケヴィン:覚えてるか?最期に会ったことを。
シャロン:忘れようとしてた。何もかもすべて。
俺はアトランタで生まれ変わった。
これは過去にフアンが教えてくれた「自分の道は自分で決めろ」という教えに対して
シャロンは忠実に守って、自分は同性愛者ではないと言い聞かせて自分をつくっていたけど
結局ケヴィンには見透かされていて、どんだけ着飾っても、本来のシャロンはまだ生き続けていると伝えられているシーンでした。
まとめ
この映画の本筋は、あくまでも純愛。
映画の撮り方や音楽など、もっともっと僕自身が映画マニアになれば知れることはたくさんあるような作品だと思いますが
僕自身がこの映画から得られたことは「自分らしく、なりたい自分に嘘をつかずに生きる事」かなと思います。
なんだかありきたりな標語のような感じになってしまいましたが、、笑
意外と自分の理想や思った通りの人生というのは難しいみたいで、少し自分に嘘をつきながら、なんとなく着飾っている部分もあるなぁとしみじと思ってしまったんです。
この映画を通して何を感じるか、本当に人それぞれかと思いますが
それでも過去を背負って今を生きて、未来に向かうことの大切さを教えてくれたこの映画は、作品として素晴らしいなと思いました。皆さんも是非、鑑賞してみてください。
それでは今回はこのあたりで以上です、ご愛読ありがとうございました。
コメント