【ノーカントリー】運命に導かれる男たちのはなし

今回は、第80回アカデミー賞作品・監督・脚色・助演男優賞の4部門に輝いた『ノーカントリー』

こちらも名作と呼ばれて久しいですが、ここまで鑑賞してこず、、この度やっと鑑賞です

なんだか難しい内容なのかなぁと思って鑑賞し始め、いや思いのほか分かりやすい内容かなと思ったら、やっぱり難しい内容だったという感想です 笑

とっても考察しがいのある哲学的な映画となっておりましたので、分かる範囲で感想をつらつらと。

あらすじ

1980年の米テキサスを舞台に、麻薬密売人の銃撃戦があった場所に残されていた大金を盗んだベトナム帰還兵(ブローリン)と殺し屋(バルデム)の追跡劇、そして2人を追う老保安官(ジョーンズ)の複雑な心情が描かれる。原作はピュリッツァー賞作家コーマック・マッカーシーの「血と暴力の国」(扶桑社刊)。

引用元・映画.com

作品紹介

引用元・映画.com

・監督:コーエン兄弟(ジョエル・コーエン、イーサンコーエン)
・公開日:2008年3月15日
・上映時間:122分

キャスト:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリー

ヒリヒリする追跡劇

この映画は簡単に言うとこんな構図です

大金を盗んだベトナム帰還兵(モス) ← 雇われた殺し屋(シガー) ← 老保安官(ベル)

序盤はモス&シガー、後半からシガー&ベルという感じで、話が展開していくんですが

個人的にヒリヒリしたのは、モスが逃げまくり、シガーがチェイスしまくる序盤

盗んだ大金には実は受信機が忍ばされていて、発信機を携えた殺し屋が追ってくるんですが
何がそんなにヒリヒリするかというと、やはり殺し屋のビジュアル&謎のピストルですね 笑

髪型については、役作りの段階で被ったカツラが現場で大ウケして採用されたらしいのですが
オカッパ頭のような髪型に、先端に装着されたステンレス素材のような円柱器具

撃てば「パシュンッ!!」と音を立てる散弾銃なんですが、とにかくこれで道中の不要な人物をどんどん撃ち○していくんですよね

この時点で「迷いなく攻撃してくるヤバい奴」という先入観をしっかり植え付けられているので、その追跡劇は本当にヒリヒリしました

また、序盤でシガーが使っているのは劇中では「エアガン」と表現されていましたが、酸素ボンベ?のようなもので、空気の勢いで撃ち抜くというもの。これ武器になるんか 笑 やばすぎ、、

引用元:映画.com

運命について

そんな容姿・性格ともに狂気じみた殺し屋シガーですが

映画序盤で彼の特徴を捉えるとっても印象的なシーンがあります

荒野の小さな雑貨屋に立ち寄るシガー、店長と軽く会話をするんですが、その内容は全く要領を得ず

「何時に寝るんだ?」
「はい?」
「耳が悪いのか?お前は何時に寝るんだ?」
「だいたい9時半頃だと思います」
「その頃また来る」
「なぜです?閉店するのに」
「聞いたよ」
「・・・もう閉店します」

店長は終始なんやこいつ状態でポカーン。。。

そんな中、シガーは急に店長にコインの表と裏を選択するように迫り、賭けを始めます
賭けなんか今までしてきていないという店長へ

「いや、お前は今までずっと賭け続けてきた。このコインの発行年は1958年。22年旅をして、これは今ここにある。表か裏か、どっちか言え」

その後店長は訳も分からず「表です」と答え、見事コインは表で的中。シガーは良く当てたと店を去ります

このシーンで伝わるのは、シガーにとってその瞬間の出来事も何もかも全て「運命」によって決められているんだということ

だからこそ表を的中させた店長には全く乱暴をせず、その場を去っていった

つまり、シガーに追われているモスも、結局は既にシガーに追われ、やられる運命にあるからこそ、シガーもその運命に従って執拗に追跡しているということなんですね

また、途中シガーに○されてしまう登場人物が度々「俺を○す必要なんかないんだ」とシガーに訴えますが、運命という視点で見れば、「そうなるべき」であれば、感情的な部分は抜きにして、お前はそうなるべきということなんです

この思考こそシガーをシガーたらしめているというか、ロボットのような冷酷さを生んでいるんだぁと思いました。恐ろしい発想ですね。。

印象深いラスト

(中盤は割愛)

後半はシガー&ベルです

ベルはある犯行現場に車で駆け付け、用心しながら銃を構えてひっそりと扉を開けます

(扉を開ける前に、シガーが潜んでいるカットが、、、)

しかし部屋を見渡してもシガーの姿はなく、ふと目を移すと排気口が外された跡が。


カットは移り、ベルは叔父さんのもとへ

そこで保安官を辞職することを告げるシーンにて、叔父さんからこのようなことを言われます

「人間ってのはな、奪われたものを取り戻そうとして更に失う。結局は出血を止めるしかない」

運命に逆らうと、さらにその先にも運命が待っている。だからこそ、過去を受け入れ今を改善して突き進んでいくしかない。そんな教訓のように私は感じました。

こうして保安官のベルは「もう関わりたくない」と辞職をして、シガーとは相容れない世界戦へと運命を辿っていくという話でした

これまたまぁ~~~なんとも。

この映画の解釈は本当に人それぞれのように感じますが、「運命」という捉え方でよければ、自分の「運命」にも照らし合わせて、是非前だけを向いて進んでいきたいものですね

噛めば噛むほど味がでる名作、今回はこの辺で以上でございます

ご愛読いただき、ありがとうございます。

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